地図について |
|
|
|
測地系とは、地球上の位置を経度・緯度によって表すための方式で、地球を楕円体に近似して処理されています。
そのため、同じ場所でも測地系の違いにより緯度経度が異なるため、正しく測地系を処理しないと位置がずれてしまうという問題が発生します。
日本では、主に4種類の測地系が使われていて、近似する楕円体が異なります。
また、測量は日本水準原点を基準にして行われてきましたが、天文観測による測量の誤差のため離島毎に水準原点が存在しています。
測地系の変換には、2つの変換処理が必要となります。 1つ目は近似する楕円体の違いによる変換で、2つ目は水準原点の違いによる変換です。
近似する楕円体の違いによる変換をすることで、世界測地系(GPS用世界測地系)とGPS用日本測地系の変換を行うことができます。 世界測地系(GPS用世界測地系)とGPS用日本測地系では、位置は450mほどずれています。
楕円体の種類 | 赤道半径 | 扁平率 |
---|---|---|
GRS80楕円体 | 6,378,137.000m | 1/298.257222 |
WGS84楕円体 | 6,378,137.000m | 1/298.257224 |
ベッセル楕円体 | 6,377,397.155m | 1/299.152813 |
世界測地系(GPS用世界測地系)からGPS用日本測地系への変換は、下記の式で行うことができます。 三角関数を使わない簡易式ですので、誤差は5m程度あります。
$lat_gtk = $lat_jgd * 1.000106960 - $lng_jgd * 0.000017467 - 0.0046020; $lng_gtk = $lng_jgd * 1.000083049 + $lat_jgd * 0.000046047 - 0.0100411; |
$lat_jgd = $lat_gtk * 0.999893050 + $lng_gtk * 0.000017464 + 0.0046017; $lng_jgd = $lng_gtk * 0.999916957 - $lat_gtk * 0.000046038 + 0.0100405; |
水準原点の違いは、測量法によって決まっているだけですので、数学的に変換することはできません。
日本測地系とGPS用日本測地系では、下記の表のように780mもずれることがあります。
石垣島や与那国島では誤差が大きいのに対し、間にある西表島では誤差が少ないのは、測量を開始した時期の天文測量の精度の違いではないかと思われます。
日本測地系とGPS用日本測地系の両方に対応していない地図システムでは、これだけのずれが発生する可能性があります。
区域 | 南北誤差(m) | 東西誤差(m) |
---|---|---|
三宅島 | -5.8 | +4.6 |
御蔵島 | -7.1 | 5.9 |
八丈島 | -14.5 | 5.7 |
青ヶ島 | -77.9 | 1.3 |
小笠原 | -1.5 | 13.2 |
硫黄島 | 783.1 | -143.0 |
隠岐 | 4.9 | -4.3 |
男女 | 0.7 | 4.8 |
大東 | 372.9 | -505.6 |
トカラ | 5.0 | 4.9 |
奄美 | 7.7 | 6.5 |
沖縄 | 12.6 | 9.1 |
尖閣 | 0.0 | -55.7 |
宮古 | 56.0 | -47.2 |
多良間 | 280.3 | -462.9 |
石垣 | -147.4 | -185.1 |
西表 | 7.4 | 13.3 |
与那国 | -149.9 | -178.3 |
国土地理院では、世界測地系と日本測地系の変換を正確に行うために、TKY2JGD.parというパラメータファイルを提供しています。
TKY2JGD.parは、MeshCode、dB(sec)、dL(sec)の3レコードからなるファイルです。
国土地理院のメッシュは、緯度30秒、経度45秒の大きさのメッシュとなっています。
MeshCodeは、緯度方向1次メッシュ2桁、経度方向1次メッシュ2桁、緯度方向2次メッシュ1桁、経度方向2次メッシュ1桁、緯度方向3次メッシュ1桁、経度方向3次メッシュ1桁となっていますので、それぞれを$mc11、$mc12、$mc21、$mc22、$mc31、$mc32とすると、下記の計算式で緯度経度が求まります。
dB、dLには、緯度、経度方向の補正値(度)が格納されていますので、この値を使って測地系の変換をすることができます。
$lat = ($mc11 + $mc21 / 8 + $mc31 / 64) / 1.5; $lng = ($mc12 + $mc22 / 8 + $mc32 / 64) + 100; |
水準原点の差(日本測地系とGPS用日本測地系の差)の表は、TKY2JGD.par内のすべてのメッシュコードに対して、近似する楕円体の違いによる測地系変換を行った結果と、TKY2JGD.parの値によって測地系変換を行った結果で、0.2秒以上のずれがある地点を調べて作成してありますので、それなりの精度があります。
実際に、この変換パラメータを利用して測地系変換を行っていますが、変換誤差は10m以内に収まっています。
経線は北に行くほど狭くなりますので、経度1秒あたりの距離は緯度によって異なります。
また、地球は球ではなく楕円体に近いので、緯度1秒あたりの距離も緯度によって異なります。
そこで、各緯度における1秒あたりの距離と1mあたりの秒数を表にしました。
誤差を10m以下にする場合は、緯度経度の誤差は0.3秒以下であれば十分です。
緯度 | 南北距離 | 東西距離 | 緯度の長さ | 経度の長さ |
---|---|---|---|---|
度 | m/秒 | m/秒 | 秒/m | 秒/m |
0 | 30.7 | 30.9 | 0.033 | 0.032 |
5 | 30.7 | 30.8 | 0.033 | 0.032 |
10 | 30.7 | 30.5 | 0.033 | 0.033 |
15 | 30.7 | 29.9 | 0.033 | 0.033 |
20 | 30.8 | 29.1 | 0.032 | 0.034 |
25 | 30.8 | 28.0 | 0.032 | 0.036 |
30 | 30.8 | 26.8 | 0.032 | 0.037 |
35 | 30.8 | 25.4 | 0.032 | 0.039 |
40 | 30.8 | 23.7 | 0.032 | 0.042 |
45 | 30.9 | 21.9 | 0.032 | 0.046 |
50 | 30.9 | 19.9 | 0.032 | 0.050 |
55 | 30.9 | 17.8 | 0.032 | 0.056 |
60 | 30.9 | 15.5 | 0.032 | 0.065 |
65 | 31.0 | 13.1 | 0.032 | 0.076 |
70 | 31.0 | 10.6 | 0.032 | 0.094 |
75 | 31.0 | 8.0 | 0.032 | 0.125 |
80 | 31.0 | 5.4 | 0.032 | 0.185 |
85 | 31.0 | 2.7 | 0.032 | 0.370 |
2地点間の距離は、ヒュベニの公式を使って求めることができます。
公式は、MathMLで記述しているため、MathJaxを使って表示しています。
ヒュベニの公式(2地点間の距離) | |
経度の差(ラジアン) | |
緯度の差(ラジアン) | |
緯度の平均値(ラジアン) | |
子午線曲率半径 | |
卯酉線曲率半径 | |
子午線・卯酉線曲率半径の分母 | |
地球の長半径(m) | |
地球の短半径(m) | |
地球の扁平率 | |
地球の離心率の2乗 |
度からラジアンへの変換 | rad = deg * PI / 180 = deg * 0.01745329252 |
ラジアンから度への変換 | deg = rad / PI * 180 = rad * 57.29577951 |
PI(円周率) | PI = 3.141592654 |
テーブルタグ日本地図は、ブラウザで文字の大きさの変更したり、ブラウザの横幅に応じて地図の大きさを変えれる日本地図です。
|